宝塚記念の思い出|グラスワンダー

◆第56回宝塚記念・G1(28日・阪神競馬場、芝2200メートル)

 上半期を締めくくる第56回宝塚記念(28日、阪神)の枠順が25日、決まった。3連覇がかかるゴールドシップに真っ向勝負を挑むのが、5歳牝馬ラキシスの手綱を執るクリストフ・ルメール騎手(36)だ。2005年有馬記念では、ハーツクライでディープインパクトに初黒星をつけた名手が、JRA移籍後、初のG1制覇へ自信を隠さない。馬券は27日から発売される。

 大本命キラーのルメールが狙い澄ました大一番だ。牝馬のラキシスで挑む自身初のサマーグランプリ。「スピードがあるから2200メートルならゴールドシップより上。いいチャンスだと思う」。13年は3馬身半差、昨年は3馬身差と、圧倒的なパフォーマンスで2連覇中の白い怪物にも強気な姿勢を見せた。

 自信を与えたのが初コンビを組んだ前走の大阪杯だ。3か月半ぶり、不良馬場を苦にせず、11番手から強烈な差し切り。メンバー最速となる上がり(3ハロン)35秒9の脚を使うと、ゴール前でキズナを2馬身引き離し、昨秋の天皇賞馬スピルバーグなど計5頭のG1馬をひとのみした。

 「素晴らしいレースだったね。重い馬場は大好きみたい。キズナなどのいいメンバーを負かしてくれた。日本で一番強い牝馬だと思う」。昨年暮れの有馬記念は6着だが、3着ゴールドシップから0秒1差。想像以上の走りに仏の名手が舌を巻いた。例年、緩い馬場になりやすいが、今年も週末の天気予報は下り坂。道悪実績が頼もしい。

 相手が強ければ強いほど燃える。ルメールのG1・5勝は、〈4〉〈4〉〈4〉〈1〉〈3〉番人気。ウオッカで制した2009年ジャパンC以外は、すべて断然の1番人気を沈めた。最も記憶に残るのは、ハーツクライで単勝1・3倍の無敗馬ディープインパクトに初めて土をつけた05年の有馬記念だが、リトルアマポーラで臨んだ08年のエリザベス女王杯も見事だった。絶好位の5番手から早め先頭に立ち、単勝1・8倍のカワカミプリンセスを1馬身半差で完封。当時のカワカミの鞍上は、くしくもゴールドシップに騎乗する横山典だった。

 今年3月にフランスからJRAに移籍したが、G1タイトルにまだ手が届いておらず、力が入る。「宝塚記念はベストメンバーが走る、日本で有名なレース。G1を勝ちたいね」。史上初の同一G13連覇阻止へ。再びファンを驚かせる。

(橋本 樹理)

 ◆クリストフ・ルメール 1979年5月20日、フランス生まれ。36歳。ドバイ・シーマクラシック(ハーツクライ)をはじめ、仏ダービー、メルボルンC、英2000ギニーなど、世界各国のG1を制覇。JRA初騎乗は短期免許で来日した2002年。今春からJRAへ移籍し、先週まで32勝。同通算は277勝で、重賞はG1・5勝を含む20勝。

 
グラスワンダー
父-シルバーホーク

母父-ダンジグ
 
生年月日
1995年2月18日
毛色 栗毛
調教師 尾形充弘
競走成績 15戦9勝
代表産駒 スクリーンヒーロー・アーネストリー・セイウンワンダー
 
1999年 宝塚記念
4歳時、京王杯SCを完勝後、圧倒的な支持で安田記念はエアジハードの2着
宝塚記念ではスペシャルウイークの2強対決を制する
 
1999年-宝塚記念
 

 
1着 グラスワンダー 的場均
2着 スペシャルウイーク 武豊
3着 ステイゴールド 熊沢重文